糖尿病の血糖値を下げるα-グルコシダーゼ対策とは?
糖尿病の症状を改善するためには、血糖値を下げることがなによりも大切になります。糖尿病の治療として、α-グルコシダーゼ阻害薬という治療薬が用いられることがありますが、どのようにα-グルコシダーゼ対策を取ることができるのでしょうか?
■α-グルコシダーゼとは?
α-グルコシダーゼとは、生物の体内に存在する酵素のひとつで、糖の吸収や消化を助けます。デンプンの代謝に関わっている酵素で、α-アミラーゼの他にも、小腸の刷子縁膜にあるこの酵素により、デンプンは単糖へと分解されます。
そうして小腸の細胞が、α-グルコシダーゼによって分解されたその単糖を吸収することで、その後のいくつかのプロセスを得て、やがて細胞のエネルギー源となります。
そのため、糖尿病においては、糖の吸収を助ける酵素であるα-グルコシダーゼを邪魔して、小腸からの糖の消化吸収を遅らせることによって、高血糖になるのを防ぐことが重要になります。
■α-グルコシダーゼを阻害する方法とは?
α-グルコシダーゼを阻害すれば、糖の分解・吸収を緩やかなものにでき、血糖値を下げることに繋がりますが、α-グルコシダーゼを阻害する方法は大きく分けて二つの方法があります。
一つ目には、薬によってα-グルコシダーゼを阻害する方法です。
こちらの薬には、グルコバイ(アカルボース)やベイスン(ボグリボース)、そしてセイブル(ミグリトール)という三種類が存在します。
α-グルコシダーゼ阻害薬は、空腹時はそれほどでもないのに食後高血糖になる方や、他の経口糖尿病薬を服用しているのに、食後の血糖値だけが改善されないという方に処方されます。
また、二つ目として、α-グルコシダーゼの阻害作用のある食品成分を摂取する方法があります。
現在、α-グルコシダーゼの阻害作用がある、とみなされている食品成分がいくつか存在しますが、これらの食品成分を糖尿病の予防と改善の治療薬の補助的なものとして、活用することができるでしょう。
■α-グルコシダーゼ阻害薬について
α-グルコシダーゼ阻害薬は、食後に急激に上がった血糖値を下げるために服用する糖尿病の治療薬です。
αグルコシダーゼ阻害薬が体内に入ると、多糖類のデンプンから二糖類のショ糖に変わったものを分解して、ブドウ糖にする過程を遅らせ、それと同時にブドウ糖が体内に吸収されるのを遅くする作用があります。
グルコバイ・ベイスン・セイブルと、三種類あるα-グルコシダーゼ阻害薬ですが、糖尿病治療薬として最大の効果を発揮するためには、いずれの種類の薬においても食前の服用が求められます。
こちらの治療薬は、食後の服用ではまったく効果がありません。そのため、もしも食事中にα-グルコシダーゼ阻害薬を飲んでいなかったことを思い出したのであれば、すぐにでも服用するようにしましょう。
ベイスンに関しては、糖尿病治療を受けている方だけではなく、糖尿病予備軍の方の発症予防としても、効果を発揮することが認められています。
しかしながら、α-グルコシダーゼ阻害薬は、服用する人に対して副作用をもたらします。その副作用としては、お腹の張りや、下痢、おならをする回数が増えるなど、消化器症状が起こるようになります。
ちなみに、喜ぶべきかどうか悩むところですが、α-グルコシダーゼ阻害薬の効果が高いほど、これらの副作用は強くなる傾向にあるようです。
■α-グルコシダーゼを阻害する食品成分にはどんなものがあるの?
α-グルコシダーゼの阻害作用を持つのは、薬品だけに限りません。α-グルコシダーゼの阻害作用を持つ食品成分には、有名なものでは桑葉があります。
ほかにも、月見草エキスやグァバの葉、ギムネマやバナバ葉などがありますが、α-グルコシダーゼの阻害作用の点では、桑葉の抽出物がもっとも効果があるとされています。
桑葉には、DNJ(1-デオキシノジリマイシン)という、血糖値を下げる効果を持つ成分が豊富に含まれています。
この成分が、α-グルコシダーゼを阻害する作用を持っており、食後高血糖とインスリンの過剰な分泌を抑えます。
通常、糖尿病治療で使用される血糖値を下げる薬の中には、続けて服用することによって、低血糖を起こすという副作用を持つものもあります。
しかし、血糖値を下げる成分の含まれている桑葉においては、低血糖とインスリンの異常分泌という副作用は起きないということが、東北大学大学院農学研究科を中心とした研究結果で明らかになっています。
■まとめ
私たちの体の中にある酵素、α-グルコシダーゼの働きを阻害して、糖の分解と吸収を遅らせることで、糖尿病の改善と予防に効果があることを知ることができました。
α-グルコシダーゼ対策としては、いまのところ薬によるものと、食品成分に頼るものが存在します。
しかしながら、桑葉のような特定保健用食品を試してみたいと思う方は、糖尿病治療でお世話になっている医師に、一度相談してから使用するようにするとよいでしょう。