糖尿病の治療にはいくらかかる?
一度糖尿病にかかってしまうと、長きに渡りうまく付き合っていく必要のある病気ですが、気になるのがその治療費です。糖尿病の進行を遅らせるために行う治療費は、それぞれの治療法によって異なりますが、いったいどれくらいの費用がかかるのでしょうか?
■食事療法の場合の治療費用はいくら?
糖尿病の治療で、もっとも基本的でもっとも大切な治療が食事療法です。1日の食事の摂取エネルギーを守り、バランスの良い食事を摂ることが、糖尿病の治療としては欠かせません。
糖尿病や糖尿病予備軍だと診断された方の多くが、まず食事療法と運動療法から、糖尿病の治療を開始されることでしょう。
プロの栄養士が考えた、バランスの良い食事を提供する宅配食では、糖尿病治療のための健康管理食なども存在します。
しかしながら、宅配食の場合、料金が高く、糖尿病の治療費としてはどうしてもコストパフォーマンスが悪くなってしまいます。
ちなみに、食事療法と運度療法を行っている方の糖尿病治療のためにかかる費用は、クリニックの再診料や検査料などを含め、自己負担率が3割の場合には、月額3,600円ほどかかります。
年間にすると、43,000円ほど医療費がかかる計算になります。そのため、なるべく治療費を抑えて高い効果を得たいと思うのであれば、自分で健康バランスの良い食事を用意するのがよいでしょう。
■人工透析の場合の治療費用はいくら?
糖尿病にかかると、腎臓の障害を負いやすくなります。腎機能が悪化するため、腎臓の代わりに人工透析を行うことによって、血液の老廃物を体外へ除去したり、電解質と水分量を維持します。
人工透析の医療費は、月額40万円から60万円ほどとなっており、年間では500万円以上にもなります。
しかしながら、人工透析を受けることになると、1級身体障害者の認定を受けますので、実質自己負担額は月額1万円、所得の多い方で月額2万円ほどとなります。
そのため、人工透析による糖尿病の治療費としては、年間で12万円から24万円かかることになるでしょう。
■インスリン注射による治療費用はいくら?
血糖値を下げるインスリンですが、糖尿病の方においては、インスリンの分泌が不足しているか、インスリン分泌がまったくありません。
ですから、注射によって体外からインスリンを注入し、血糖コントロールを行うことが必要になります。
インスリンの種類はメーカーによってさまざまであるため、価格もそれぞれに異なります。1本あたりの単価は、1,300円から2,600円と幅があります。
また、インスリンの注入法として、「ペン」「カートリッジ」、そして「バイアル」という方法がありますが、それぞれの注入法によってもかかる費用は変わってきます。
一般的に糖尿病のインスリン注射による治療費の目安としては、国内でよく使用されているメーカーのインスリンを使用した場合、月額10,000円から15,000円かかることになります。
加えて、自分でインスリン注射を打つ場合においては、「在宅自己注射指導管理費」として、月額8,200円の医療費がかかってきます。
1型糖尿病の方の場合の糖尿病治療は、インスリン注射が主な糖尿病の治療法になり、一生涯に渡ってインスリン注射を打つ必要があります。
そのことを考えるなら、インスリン注射は必ずしも安い治療法だとは言えないでしょう。
2型糖尿病の方においては、血糖がよくなればインスリン注射から経口薬によって、血糖コントロールを行うようになります。
そのため、このタイプの糖尿病の方のインスリン注射は、一時的な治療法である、と言えるでしょう。
■投薬による治療費用と診察費用はいくら?
糖尿病の治療のひとつに、投薬による治療があります。血糖値を下げるために、薬を飲むことがありますが、それらの薬は一般的に「経口血糖降下薬」と呼ばれています。
この「経口血糖投下薬」は、それぞれの糖尿病の状態や原因によって、いくつかのタイプが存在します。
主なものとしては、インスリン抵抗性改善系、インスリン分泌促進系、そして食後高血糖改善系に分けることができます。
薬のタイプによって治療費も変わってきますが、スルフォニル尿素薬とDPP‐4阻害薬を処方された場合には、調剤基本料と調剤料などすべてを含めると、3割負担で月額3,300円ほどになります。
そして、クリニックにおける診察費用として、再診料と特定疾患療養管理料、そして処方箋料や検査料なども含めると、月額4200円ほどにかかることになります。
ですから、投薬代と診察費用を加算すると月額で7,500円になります。月額にすれば、それほど高額には感じないかも知れませんが、年間にすると、糖尿病の治療のための費用として自己負担する必要がある金額は、90,000円もかかることになるのです。
■まとめ
今回は、一般的と思われる糖尿病の治療法のそれぞれの治療費がいくらかかるか、についてご紹介いたしました。
もちろん、それぞれに使用する薬剤によって治療費は変わることになりますが、およその目安をご理解いただけたのではないでしょうか?
長くお付き合いしなければならない病気だからこそ、誰だって、できるだけ治療費を抑えたいと思うもの。
治療費としても一番安く、糖尿病の基本治療である食事療法をしっかり行えば、糖尿病の進行を遅らせることができる場合があります。
そのため、1型糖尿病であったとしても、2型糖尿病であったとしても、きちんと食事療法を行うことは大切なことだと言えるでしょう。