糖尿病の人は口が臭い?!効果的な対処法は?
歯磨きもフロスもしっかりしているのに、なぜか口臭がきつい。もしかすると、それは糖尿病にかかっているからかも知れません。自覚症状の少ないと言われる糖尿病ですが、なぜ糖尿病になると口臭がきつくなるのでしょうか?
■インスリンの副作用で歯周病になるのが原因?
糖尿病の人の口臭がきつくなるのには、いくつか原因が存在します。その原因のひとつと思われるものの中に、歯周病があります。
歯周病にかかってしまうと、慢性的な口臭に悩まされることになります。それは、歯周病の原菌が、口臭の原因となるメチルメルカプタンという物質を発生させるからです。
このメチルメルカプタンが、腐ったたまねぎのような強烈な臭いの元となります。
では、なぜ糖尿病になると歯周病にかかりやすくなり、口臭がするようになるのでしょうか?
糖尿病の人は、インスリンがうまく働かない状態であるため、ブドウ糖がエネルギーへと変換されにくくなります。
すると、足りなくなったエネルギー源を補うために、たんぱく質や脂質が分解され、エネルギーとして使われるようになります。
そのように、体内の代謝の変化と高血糖の状態が、歯周組織のコラーゲンを破壊する要因となります。そうして、やがて、修復力の弱くなった歯周に活発になった歯周病菌が襲いかかり、歯周病になってしまうのです。
ですから、糖尿病の人が歯周病にかかりやすいのは、インスリンがうまく働かないことによる副作用である、と考えることもできるでしょう。
■もっとある!糖尿病の人が歯周病にかかりやすい理由とは?
実は、糖尿病と歯周病は、お互いに深く関わり合う関係にあります。つまり、糖尿病にかかると歯周病にかかりやすくなり、歯周病にかかると糖尿病を悪化させてしまいます。
インスリンが血糖値を下げる働きをせずに、高血糖のままの状態でいると、血液がドロドロになり血の流れが悪くなります。
血流が悪くなると、細菌をやっつけてくれる白血球が体の隅々にまで届きにくくなり、感染症にかかりやすくなります。
そのような理由から、糖尿病の人は、感染症の一種である歯周病にかかりやすくなってしまいます。
■糖尿病によるドライマウスが歯周病と口臭の原因に?
糖尿病になると、よく喉が乾くようになったり、頻繁にトイレに行くといった症状が現れます。
それは、ブドウ糖を吸収しきれなくなった腎臓が、体内の水分と一緒にブドウ糖を体外へ排出しようと働くからです。
尿が大量に出ると、当然体内の水分量も減ってしまうため、細胞まで水分不足になってしまいます。そして、体内の水分が足りないので唾液の分泌量が減り、ドライマウスになります。
殺菌作用のある唾液が少ないドライマウスの状態は、口の中の細菌を活発にし、歯周病を発症させる原因となるのです。
■歯周病が原因の口臭対策はどうすればいいの?
糖尿病と歯周病の間には、相互性があることが理解できましたが、歯周病が原因の口臭は、どのように対処することができるのでしょうか?
まず、「口臭がきつくなったな。」と思ったのであれば、歯医者のもとを訪れるのが一番です。歯周病をそのまま放っておくと、血糖コントロールが難しくなるため、糖尿病がますます悪化してしまいます。
歯周病の治療が順調に進むと、口臭が改善されると同時に、血糖コンロトールがしやすくなって、糖尿病治療の効果も出やすくなると言えるでしょう。
■糖尿病の人の口臭の原因はもしかしてアセトン臭かも?
歯周病が口臭の原因になるとご紹介しましたが、糖尿病の方の口臭の原因は、実は歯周病だけではありません。
もしも糖尿病の人の口臭が、甘酸っぱいような臭いがするのであれば、それは「アセトン臭」が原因だと言えるでしょう。
このアセトン臭は、別名ケトン臭とも呼ばれています。インスリンが不足すると、ブドウ糖をエネルギーに分解できなくなり、代わりのものとして脂肪や筋肉のたんぱく質が分解されて、エネルギーとなります。
脂肪とたんぱく質が分解されると、ケトン体という物質が生まれますが、このケトン体にアセトンが含まれているのです。
ですから、「この頃、口臭が甘酸っぱい臭いがする」と感じたら、血糖値を下げるインスリンがうまく機能していない証拠かも知れませんよ。
■糖尿病の人の体臭への影響は?
糖尿病の人から、発酵したリンゴのような甘酸っぱい臭いがすることがあります。実は、ケトン体に含まれるアセトンは、口臭のみならず体臭の原因にもなります。
そして、残念ながら、糖尿病の人を襲う嫌な臭いの原因は、歯周病やケトン体だけではありません。
糖尿病の人は、脂質を多く含んだ汗をかく傾向にあります。こまめに汗を拭かないと、脂質を含んだ汗が空気に触れて酸化し、脂っぽい臭いを発するようになってしまいます。
さらに、免疫力が弱っている糖尿病の人は、身体に雑菌が繁殖しやすい状態にあります。そのため、それらの雑菌が汗と入り混じって、きつい体臭を発するようになる場合もあります。
これらの臭いの対処法としては、汗をかいたらすぐに拭くこと、そしてできるだけシャワーの回数を増やすことでしょう。
■まとめ
糖尿病の人が抱える、口臭と体臭の問題についてご紹介しました。
歯周病に関しては、嫌な臭いがしたと思ったら、すぐに歯医者で治療を開始するようにしましょう。
そうすることは、糖尿病の改善に役立ちますし、口臭で気まずい思いをしなくて済むようになるでしょう。